6月になりました。
来週5日からいよいよ、横浜そごうでの展示です。
百貨店美術画廊での展示は初めて、準備期間約半年という中での制作でした。
期待と不安とプレッシャーと・・・
今までより一層様々な思いが頭をぐるぐるとめぐります。
そして作品の高い質を求められます。
高い質の作品を創り出すのには、私自身をよりシンプルに、頭にぐるぐるめぐる思いをクリアにする必要がありました。
そんな時、出会った本『美しいこと』。
輪島の塗師・赤木明登氏著。
『美しいこと』なんてシンプルで、ダイレクトなタイトル。
装丁も何か懐かしいような、深いような、それでいて明るい空気感が漂う写真。
何が書いてあるのだろうか、と本を手にとりしばし立ち読み。
『美しい』と感じること、『美しい』という概念について、そのようなことを考える所以について、
などが、著者が縁のあるものをつくる人を訪ねながら思いをめぐらせる形で記されている。
はじめの数行を読んだだけで、ぐんぐんと吸い込まれるような感覚。
直感的に私が求めている何かがこの先にあるような気がして、即購入。
この本を読み終える頃には、
私がどれだけ『水』を美しいと感じているのかをあらためて見つめることができて
よりシンプルな状態で作品を描くことが出来るようになりました。
本『美しいこと』との出会いに心から感謝です。
そして、読書魂にちょっとだけ火がついたのと
毎朝30分、接骨院で足首に電気をあてている間の時間ができたのとで
読みかけの本も読み終えることが出来ました。
この本もまた素晴らしいのです。
『一茎有情』という本。
染織家・志村ふくみ氏と詩人・フランス文学者・美術評論家の宇佐見英治氏の対談と往復書簡で構成された本。
この本は、私の絵を何度か見てくださったおじい様が
『40歳になるころまでに読んでみて下さい』と下さったもの。
文体や言い回しが私にとって難しく、今ではあまり使われないような漢字も多くて、読みたいけどなかなか読み進めないでいました。
けど、不思議なことに今度はどんどん読めるのです。
頭というより体にどんどん吸収されていくような感覚。
そこでは、色について、自然について、芸術について、言葉について、様々な事柄について
お二人の深い含蓄・研ぎ澄まされた感覚に基づいて語られていて
そのどれもが、私にとって泉のように力を与えてくれるのです。
きっとこれからも度々この本を開くことになりそうです。
この本が読み終えるころ、作品の制作も終えました。
この本を下さった、K様にも心からお礼を申し上げます。
言葉では表現しきれないものがあって絵を描いている私ですが
描くということについて、より深めたり、広げたりするのに、言葉の力をたくさん頂きました。
それが少しでも作品に反映していることを祈ります。
6月5日から11日まで
5、8,9,10日は会場に居ります。
11時くらいから18時くらいまでは居る予定です。
在廊日の上記外の時間にお越しの際は、直接ご連絡ください。
皆様の目に今回の『水』はどううつるでしょうか。
どうぞご高覧下さい。
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